- 虫歯、歯周病
虫歯と歯周病の違いとは?それぞれの原因と症状、治療方法について
歯の悩みといえば、子供から大人までがかかる「虫歯」、そして日本人が歯を失う原因として最も多い病気「歯周病」、を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。この二つの病気はお口の中の病気と言っても全く違うものです。
ここでは、そんな虫歯と歯周病の違いについて説明していきます。
虫歯と歯周病の原因の違い
虫歯や歯周病が起こる原因はそれぞれ違います。
お口の中のプラーク(歯垢)に潜む細菌が原因になる点は同じですが、虫歯と歯周病では原因となる細菌の種類が違うのです。そのため、虫歯と歯周病は同時にかかることもあれば、どちらか一方だけかかるということもあり得ます。
では、それぞれの原因をみていきましょう。
虫歯の原因
虫歯は、ミュータンス菌という虫歯菌が出す酸によって歯が溶けだす病気です。虫歯菌は、食後の食べかすなどの糖分をエサにして酸を作り出し、歯を少しずつ溶かしていきます。
歯周病の原因
歯周病は、歯周病菌が出す毒素によって、歯を支えている歯茎や歯槽骨といった歯周組織に炎症が起きる病気です。その原因となる歯周病菌にはいくつかの種類があり、なかには誤嚥によって気管支から肺に入ることで誤嚥性肺炎の原因となってしまうものもあります。またそれだけではなく、歯周病は糖尿病など全身の病気とも関わりが深い病気です。
虫歯と歯周病の症状の違い
虫歯と歯周病はどちらもプラークが原因となるお口の中の病気ですが、起こる症状は異なります。しかし、進行すると最終的に「歯が抜け落ちてしまう」という点は同じになりますので、どちらも注意すべき病気です。
それぞれの症状をみていきましょう。
虫歯の症状
虫歯は歯の病気で、進行状態や自覚症状はCO~C4まで段階を経て進んでいきます。
C0
歯の表面が酸によって少しだけ溶けている状態で、痛みなどもなく穴も開いていないため自分では気づかないことも多いでしょう。歯科検診で要観察歯といわれるものです。
C1
虫歯菌によって歯の一番表面のエナメル質が溶けた状態です。ここでも痛みはなく磨いてもとれない色がついていたり、小さな穴が開いていたりすることで気づく場合があります。
C2
虫歯がエナメル質の内側、象牙質にまで進行した状態です。神経に近づくため冷たい水を飲んだり甘いものを食べたりすると歯がしみて、痛みを感じるでしょう。
C3
虫歯が象牙質より深く神経まで到達した状態です。何もしない状態でもズキズキと激しい痛みがあり、温かいものでも痛みを感じるようになります。
C4
虫歯によって歯がすっかり溶けて根の部分だけになった状態です。もう神経も死んでしまっているため痛みは感じません。
歯周病の症状
歯周病は歯を支える歯茎や歯槽骨に起こる病気で、痛みを感じることなく進行しているため、症状に気づきにくいという特徴があります。そのため気づいたときには歯がグラグラしている、ということも少なくありません。
軽度歯周炎
歯茎が腫れて、歯磨きのときに出血することもあります。歯を支える歯槽骨の吸収は軽度です。
中度歯周炎
歯茎の腫れと出血だけではなく歯を支える歯槽骨の吸収が見られます。歯が少しぐらつき始めて、ものが噛みにくくなります。また、口臭がきつくなるのも特徴です。
重度歯周炎
歯を支える歯槽骨の吸収が著しく、歯を支えられずぐらつきが大きくなります。さらにものを噛むことが難しくなります。歯茎から出血したり膿が溜まったりするため、口臭がさらにひどくなります。
虫歯と歯周病の治療方法の違い
虫歯と歯周病は治療方法も違います。それぞれみていきましょう。
虫歯の治療方法
虫歯の治療方法は基本的に虫歯を削ってその部分に詰め物をすることです。
COの状態ならばフッ素塗布で経過観察となる場合もありますが、C3のように根まで進行している場合は、歯の根の治療も必要となります。根の治療を行った後は、被せ物をすることになります。
歯周病の治療方法
歯周病の治療方法の基本はプラークを除去してお口の中を清潔に保つことです。
そのため歯科医院でのクリーニングや歯石の除去、そして患者様ご自身によるプラークコントロールが重要となります。
軽度の歯周病はそれで治癒していくことも多いのですが、重度の歯周病になると歯周外科手術が必要となることもあります。
まとめ
虫歯と歯周病はそれぞれ全く別の病気です。どちらも大切な歯を失う可能性がある病気で、どちらにかかるほうが怖い?と比較することはできません。歯を守るためには毎日ご自身で行う歯磨きや歯科医院での歯石取り、検診といったケアによる予防で、早期発見・早期治療を心掛ける必要があります。歯のことで不安なことがありましたら、お気軽に当院へご相談ください。