インプラントについて
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インプラントとは、歯を根っこから丸ごと失ってしまった部位の、骨の中に植える、人工の歯根のことを言います。その人工歯根の上に人工歯を付けて、歯として機能させる治療法です。
インプラントの歴史は古く、40年程前にスウェーデンのブローネマルク教授によって開発され、すでに世界中で頻繁に行われている治療法です。日本でも30年程前から行われるようになり、またこの10年で様々な技術が開発・改良され、治療法が飛躍的に進歩したことによって、歯を失ってしまった場合の治療法の第一選択として確立されました。
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従来の治療法とインプラント治療の比較
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入れ歯による治療
ブリッジ
インプラント
長所 - 治療期間が短い。
- 歯を削る量が比較的少ない。
- 保険適用内で治療できる。
- 固定式で、違和感が少ない。
- 一部を除き、保険適用内で治療ができる。
- 歯を削る必要がないので、他の歯を守ることができる。
- 固定式で違和感が少ない。
- 噛む力が均等なので、他の歯に負担をかけることがない。
短所 - 違和感が強い。
- 取り外し式なので、面倒臭い。
- バネがかかる歯への負担が大きく、審美性が悪い。
- 歯を削る量がかなり多く、負担が大きい。
- 外科処置を伴う。
- 保険適用外で、治療費は患者様全額負担となる。
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噛む力と他の歯にかかる負担
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義歯(入れ歯)
噛む力は元の歯の20~30%程度になります。自分の歯のように咬むことはできません。
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ブリッジ
抜いた歯にかかる負担を両隣の歯が支えるため、両隣の歯の寿命が短くなることがあります。
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インプラント
自分の歯を同じように咬むことができ、他の歯に負担をかけることはありません。
インプラントは第2の永久歯とも呼ばれ、食事をした時の感じや見た目もほとんど天然の歯と変わりません。
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インプラント治療の流れ
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Step01
ご予約Step01ご予約
治療はご納得してからのスタートとなりますので、ご相談だけでもお気軽に。
「インプラントにしてみようかな」「ちょっと気になっているんだよね」という段階でも構いません。または、まずは無料メール相談でご相談ください。 -
Step02
初診と治療計画Step02初診と治療計画
インプラント治療においては、まず、十分なカウンセリングと骨や歯ぐきの状態を、レントゲン写真やCTを使い綿密な口腔内検査のもと、詳細なインプラント治療の計画を立てることから始まります。治療計画が決まったら、患者様に手術の詳細を説明し、患者様本人の同意をいただき、その後、インプラントの手術を行います。
インプラント治療においては、CTを使った術前の診断が特に重要となります。的確な診断をすることにより、安全で確かな治療を行うことができるからです。 -
Step03
一次手術Step03一次手術
術前の治療計画により、予定部位に局所麻酔を行い、インプラントを植え込みます。
この手術は局部麻酔で行います。簡単なものでは抜歯程度。入院の必要もありません。 -
Step04
抜糸Step04抜糸
手術部位の確認。一次手術後、約1~2週間ほどで抜糸をし、手術部位の治りを確認します。
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Step05
治癒期間Step05治癒期間
インプラントが骨とくっつくまで待ちます。個人差はありますが上顎で3~6ヶ月、下顎で3~4ヶ月です。この期間を利用して、他に悪いところがあれば、むし歯・歯周病・咬み合わせの治療を行います。
※この間は仮の義歯を使用することができますので、日常生活に支障はありません。 -
Step06
二次手術Step06二次手術
骨とくっついたインプラントを歯ぐきの上に、頭出しの処置を行います。歯肉を小さく切開し、埋まっているインプラントの頭部を露出させます。そして歯ぐきが治るまで数週間待ちます。
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Step07
人工の歯を入れる準備をしますStep07人工の歯を入れる準備をします
歯ぐきが治った時点でインプラントの上に土台を入れ、人工の歯を入れる準備をします。具体的には、歯の型を取り、患者様に合わせて、歯並びや形状、色をチェックしながら、人工歯である冠せもの(セラミック)を作製します。
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Step08
人工歯装着Step08人工歯装着
インプラントの上に人工歯を装着します。
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Step09
メンテナンスと定期検診Step09メンテナンスと定期健診
インプラントと天然歯を守っていくためには、治療後の衛生管理がとても大切です。
治療が終った後は、まず1週間後に定期検査をします。その後はだいたい1ヶ月~6ヶ月毎に定期検査をします。
※定期検査の期間は口腔内の状況などで異なります。
担当医、担当衛生士の指導のもと、お手入れの方法を学んでください。
痛みの少ない治療について
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インプラント治療を快適に受けていただくために
当院では、治療を快適に受けていただくために、ご希望に応じて点滴で鎮静薬を投与する静脈内鎮静法にてインプラント治療を行っています。
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静脈内鎮静法とは?
歯科恐怖症・嘔吐反射にもよく使用する世界的に安全性の確立された、治療法です。
静脈内鎮静法とは、感じ方は人それぞれですが、ほろ酔い加減のような、うたた寝をしているような状態でリラックスして治療を受けることができる方法です。ストレスが無くなり、ほとんどの場合、痛みも無くいつの間にか治療が終わっていたという感じがします。
手術中のことを覚えていないことが多いため「あっという間に手術が終わった。」「とても楽だった。」という患者様がほとんどで、「気がついたらインプラントが入ってた!」という患者様もいらっしゃいます。
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静脈内鎮静法は、こんな方におすすめです
- 手術に恐怖心をお持ちの方
- リラックスして楽に治療を受けたい方
- 一度にたくさんのインプラント治療をされる方
- 口の中に器具が入ると「オエッ」となってしまう方
- 持病が気がかりでインプラント治療はちょっと不安という方
個人差はありますが、呼吸や血圧に影響する場合もあります。
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- まれにふらつくことがあります
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- 食事を制限する場合がある
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静脈内鎮静法の流れ
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Step01
モニター類(血圧計・心電図・血液中の酸素を測定するクリップ等)を装着します。
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Step02
腕または手の血管に点滴をするための注射を行います。
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Step03
点滴からお薬を流してリラックスした状態に調節します。だんだん「ボーッとした気分」、「フワフワした気分」になってきます。場合によっては眠ってしまうことがあります。(お薬の効き方には個人差があります。)
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Step04
手術を開始します。
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Step05
手術が終了するころに目が覚めるように、お薬の投与を終了します。(お薬の効き方には個人差があり、手術中のことを断片的に覚えていたり手術の最後のほうを覚えている場合があります)
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Step06
手術終了後、点滴を抜いて、体調や気分が回復するまで休憩していただきます。
静脈内鎮静法を受けていただく場合、いくつかの注意事項があります。麻酔担当医から説明がありますので、お気軽にご相談ください。
当院では、歯科麻酔専門医による生態モニターを利用した全身管理(血圧・心電図・酸素飽和度の測定)のもと、術中の不快感もなく、快適・安全に施術を終えることが可能です。
なお、お身体の状態によっては静脈内鎮静法を行うことが出来ないこともあります。
麻酔担当医が全身状態のチェックをさせていただきます。静脈内鎮静法についてご質問・ご不明な点がありましたら、ご遠慮なくお尋ねください。 -
Step01
サイナスリフト
インプラントは骨の中に埋め込みます。インプラントがしっかり骨の中に埋め込まれて、骨と結合することによって、咬み合わせの力に耐えることができます。しかし、上顎(うわあご)の奥歯の部分は、歯周病や歯がない事などで極端に骨がやせてしまったり、もともと骨が薄い場合など、インプラントを埋めるのに充分な骨が無い場合があります。
サイナスリフトとは、その骨が薄くなってしまった上顎の部分に、インプラントをしっかり埋め込むために骨の厚みを作る処置のことをいいます。
サイナスリフト施術方法
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Step01
上顎の歯を支える骨(歯槽骨)の上部には、上顎洞(サイナス)という大きな空洞があり、鼻腔へとつながっています。
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Step02
上の奥歯を失ってしまうと、上顎洞が下方に拡大していきます。同時に、失った歯の周囲の骨が吸収されていくので、歯を支える骨の厚みが加速的に減少していきます。
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Step03
上顎の歯を支える骨にインプラントを入れるための高さが不足している場合サイナスリフトによって骨の高さを確保する必要があります。サイナスリフトは、歯を支える骨が極端に薄い症例でも十分対応可能です。
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Step04
方法は、上顎の歯を支える骨に横から穴を開けます。穴を開けた所から上顎洞の粘膜をリフトアップします。
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Step05
そのスペースに骨になる材料を入れていきます。充分高さの確保できたところにインプラントを埋入していきます。
歯を支える骨の高さが極端に薄い症例ではサイナスリフトを行わないと、インプラント治療ができない場合がございます。また、歯を支える骨が極端に薄い場合は入れ歯の安定も悪くなるため、インプラントを希望される方が多くいらっしゃいます。
個人差はありますが、予定量の再生ができない場合は再手術が必要になる場合があります。
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- 身体に負担がかかる場合がある
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- 内出血が起こるリスクがある
ソケットリフト
ソケットリフトとは、その骨が薄くなってしまった上顎の部分に、インプラントをしっかり埋め込むために骨の厚みを作っていく処置をいいます。上顎の骨にソケット状に穴を開けて、その穴に骨の代わりをする人工材料(骨補填剤)を押し入れ、骨の高さをリフトアップしていきます。そして骨の高さを確保したところに、インプラントを埋め込みます。
ソケットリフト施術方法
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Step01
まずはインプラントを埋め込む箇所に穴を開け、顎の骨の一部を取り除きます。そして、上顎洞と歯槽骨の間にあるシュナイダー膜という粘膜を露出させます。
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Step02
ソケットエレベーターという器具を使用して、シュナイダー膜をゆっくりと押し上げ、骨補填材の注入に必要なスペースを確保します。この際、粘膜を破らないように細心の注意を払いながら治療を進めていきます。
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Step03
十分なスペースを確保した後は、患者様から採血した血液を主成分とするCGFや骨補填材を注入します。
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Step04
インプラントを埋め込んだ後は、CGFによる骨再生で骨補填材が誘導され、インプラントと骨が結合するのを数ヶ月かけて待ちます。
個人差はありますが、上顎洞膜を破る可能性があります。
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- 多数の歯が欠損している場合には適用できません
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- 治療期間が長くなることがある
料金
基本料金
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インプラントボディ(1本)
¥297,000
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土台(アバットメント)※インプラントボディ1本に付き
¥66,000
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最終のかぶせ物(ジルコニアクラウン)※インプラントボディ1本に付き
¥143,000
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CT撮影
¥11,000
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ソケットリフト(骨の高さを垂直的に増やす方法)
¥110,000
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サイナスリフト(骨の高さを垂直的に大きく増やす方法)
¥220,000
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リッジエクスパンジョン(骨の幅を水平的に増やす方法)
¥110,000
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静脈内鎮静法セデーション(全身麻酔)
¥110,000
必要に応じたオプションメニュー
※料金は税込になります。
インプラント治療には以下のような注意点がございます。院長が患者様の治療とアフターフォローをしっかりと行いますので、インプラントに関するご相談は、遠慮せずに何でもお聞かせください。
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- 保険がきかない(自由診療)
- 手術が必要になる
- 治療期間がブリッジ等に比べ長い
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- 手術後はメンテナンスが必要になる
- 手術後痛み・腫れが出る可能性がある
- リッジエキスパンジョンは、分割、拡大しないと骨を大きく失うことになる
インプラント治療Q&A
- Q
インプラント手術時は、痛くないでしょうか? どれ程の時間がかかりますか?
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A
インプラントを顎(あご)の骨に植える手術は、局所麻酔をして行いますので特に痛みの心配ありません。術後は数日間腫れたり、多少の痛みが出る場合がありますが、処方する鎮痛剤・抗生剤・消炎剤などで対処することが出来ます。こちらの記事で詳細を書いておりますのでぜひご覧ください。
- Q
インプラントの手術の際、入院が必要ですか?
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A
一次手術でも、二次手術でも入院の必要はありません。
また、充分な局部麻酔下で手術を行いますので、従来の歯科治療に比べても痛みを感じる度合いは強くないと言えるでしょう。術後は数日間腫れたり、多少の痛みが出る場合がありますが、処方する鎮痛剤・抗生剤・消炎剤などで対処することが出来ます。 - Q
極度の怖がりでインプラントをためらっています・・・大丈夫でしょうか?
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A
痛みに不安やストレスを感じる患者様や、高血圧などの全身疾患をお持ちの患者様には、希望に応じて点滴で鎮静薬を投与する静脈内鎮静法を用います。通常の麻酔と静脈内鎮静法の併用であれば、痛みの少ない治療が実現出来ますので、極度の痛がりの患者様でも、苦痛を感じないで手術を受けられます。
なお、静脈内鎮静法の場合、麻酔専門医が手術中付き添って全身管理をしていますので、その点でも安心していただけると思います。
※静脈内鎮静法セデーション(全身麻酔) ¥110,000(税込) - Q
インプラントは、どのくらいもちますか?
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A
インプラントの10年生存率(埋入してから10年後にそのインプラントがお口の中で機能している確率)が95%以上という報告もありますが、その寿命は、患者様のお口のお手入れの状態によってきまります。天然歯と同様に、お手入れが悪ければインプラントの寿命も短くなります。治療後の口腔衛生管理はとても大切ですので、歯科医師、担当衛生士の指導に従ってお手入れの方法を学んでください。
- Q
インプラント治療が受けられないのは、どんな人ですか?
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A
1本だけ歯を失った場合、複数の歯を失った場合、まったく歯が残っていない場合、いずれにおいてもインプラントによる治療は可能です。ただし、下記に挙げたような条件下では注意が必要です。
▼インプラント治療が制限されるケース…
- 妊娠中の方
- 全身疾患のある方
- 他の歯根に感染症がある方、歯周病の方
- あごの骨の量が少ない方、骨粗鬆症の方
- 糖尿病や高血圧などの慢性疾患がある方は良好な状態にコントロールされていることが条件になります。
▼インプラント治療が適用できないケース…
- あごの骨の成長が終わっていない方
- 歯磨きなどの日常の手入れが充分にできない方
- アルコール依存症の方
- チタンへのアレルギーを持っている方
医科の主治医とも話し合い、十分にカウンセリングをした上で、インプラント行えるかどうか歯科医師が判断します。
- Q
年齢は問題になりますか?
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A
ほとんどありません。ただし18歳以下という年齢であれば、インプラントの埋入をする前に、成長期が終わっていなくてはいけません。
- Q
骨が薄く、他院でインプラント治療が出来ないといわれましたが…。
- Q
インプラントをして、身体に影響はありませんか?
金属アレルギーや拒否反応などは大丈夫なのでしょうか? -
A
インプラントはチタンという金属でできています。想像できないような特異体質の方もいる可能性を考えると、100%とは断言できませんが、ほぽ100%と言ってよいくらい、チタンではアレルギー反応や拒否反応はでません。チタンは生体反応を起こさない唯一の金属です。チタンが骨にくっつく”オッセオインテグレーション”を利用した技術は歯科だけでなく、整形外科等で広く行われているのも、チタンの安全性が証明されている証拠でしょう。
- Q
会社や学校は、何日くらい休んだらいいですか?
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A
術後に少し腫れたり、アザができたりすることがありますが、通常ほとんどの方は翌日には会社や学校に戻っておられます。
- Q
禁煙しなくてはいけませんか?
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A
禁煙は強く推奨されます。タバコ内に含まれる二コチンは創傷治癒を遅らせ、長期的に見れば症状を悪化させる恐れがあります。
- Q
インプラント処置をしてから歯が入るまでの待っている間は、歯が無いのですか?
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A
前歯など、審美的に問題がある場合や、奥歯が無くて食事ができないなどの緊急性がある場合には、すぐにでも仮歯を入れて不都合を解消するようにします。治療期間中、歯が無くて見た目が悪かったり、食事が出来ないなどの不都合が起こらないようにいたしますのでご安心ください。
- Q
インプラントの費用は?
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A
インプラント治療に健康保険は適用されませんので、自費治療になります。インプラントの治療費は、手術料とインプラントの材料費、インプラントに装着する上部構造の費用の合計です。歯科医師の説明をよくお聞きいただいた上で、お支払い方法も含めてよくご相談ください。(なお、当院は口腔診査診断、検査を行い、ご相談とご説明をさせていただいた上で、正式な治療計画書とお見積りをお渡しいたします。)
※健康保険は適用されませんが、医療費控除の対象となります。