- 虫歯、歯周病
はちみつは虫歯にならない?はちみつの働きと虫歯予防の注意点

むし歯治療
「はちみつは虫歯にならない」と聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、残念ながらはちみつでも虫歯になることはあります。虫歯菌のエサとなりやすい砂糖との違いや注意点を理解して、正しく使用するようにしましょう。
こちらのページでは、はちみつと砂糖の成分の違いや虫歯との関係性について分かりやすくまとめました。お悩みの方はぜひご参考にしてください。
はちみつと砂糖の成分の違いって?
はちみつと砂糖はどちらも甘いものですが、成分が異なります。どのような違いがあるのかを以下で詳しくみていきましょう。
カロリーの違い

砂糖よりもはちみつのほうが約25%カロリーが低めです。さらに、同じ甘みを出す場合は半分の量で済むため、お料理をするときに砂糖をはちみつに変えるだけで1/3程度のカロリーカットが期待できます。ダイエット中の方にはとくに向いている甘味料といえるでしょう。
糖質の違い
砂糖は二糖類のショ糖が、はちみつは単糖類の果糖とぶどう糖が主成分で、体に蓄積されずすぐにエネルギーに代わる単糖類は、スポーツをされている方にとくにおすすめです。また、はちみつには善玉菌を増やす働きをもつグルコン酸やオリゴ糖も含まれているため、腸内環境を整えるのにも役立ちます。
虫歯菌のエサであるショ糖は、はちみつには数%しか含まれていないため、虫歯予防効果もあるといえるでしょう。
甘味の違い
はちみつは果糖が多く含まれているので砂糖よりも甘く、コクがあります。また、麦芽糖によってうま味を感じやすいことから、満足感が得られやすい調味料といえるでしょう。お菓子作りにはもちろんお料理やコーヒー、紅茶といった飲み物の甘さの調節など、幅広く活用できます。ただし、軽い食感が重要なスポンジケーキやクッキーなどを作るときには、必要な水分量の変化などで生地が思うように膨らまなくなったり、食感が変わったりすることもあるため、注意が必要です。
はちみつが持つ抗菌作用とは
はちみつには強い抗菌作用があり、それが全身の健康に良いと言われる理由の一つでもあります。薄めたり、お湯で溶かしたりすると効果が半減してしまうため、抗菌作用を活かしたい場合は生のまま食べるようにしましょう。
糖度が高いことによる体への影響
生のはちみつは80%の糖度を保っており、浸透圧によって細菌の働きを抑える効果があります。
消毒効果のある成分・物質が含まれている
ブドウ糖のグルコースに、はちみつの酵素であるグルコースオキシターゼが反応すると、有機化合物であるグルコン酸が生成されます。医療現場で傷口や医療用具の消毒にも使用されている物質です。
グルコン酸の生成には水と空気が利用されますが、そのときに活性酸素の一種である過酸化水素ができます。過酸化水素は、高い殺菌作用のあるオキシドールの成分です。
はちみつは虫歯になりにくいの?
はちみつには抗菌作用があり、かつ虫歯菌のエサであるショ糖が少ないことから、砂糖にくらべると虫歯はできにくいといえます。しかし残念ながら「絶対に虫歯にならない甘味料」とは言いきれません。過度な期待はトラブルの原因です。以下の点に注意して正しく使用するようにしてください。
果糖やブドウ糖から酸が作られることがある
「虫歯菌のエサはショ糖」というのは、あくまでそれがメインというだけで、果糖やブドウ糖は全く摂取しないというわけではありません。
歯のすき間に残りやすい

粘着性のあるはちみつは、歯と歯の間やかみ合わせの溝に残りやすい傾向にあります。上記で説明したとおり虫歯菌が酸を作る原因であるため、使用後は歯の丁寧なお手入れが必須です。
はちみつ自体は酸性
お口のなかは食べ物を摂取したあと酸性に傾き、唾液の力によって徐々に中性へと戻ります。はちみつは抗菌作用があり、かつ唾液の分泌を促進するなどの働きももっていますが、はちみつ自体は酸性です。時間をあけずに何度も使用するのはあまりおすすめできません。
はちみつを使うときのポイント
使う時間や量に注意する
はちみつは果糖が多く含まれているので砂糖よりも甘く、コクがあります。また、麦芽糖によってうま味を感じやすショ糖よりも甘味が強いはちみつは、半分の量で同じ甘さが味わえますが、つい多く使ってしまう方も少なくありません。それが何度も繰り返されれば虫歯のリスクも上がります。就寝中はお口のなかを中性に戻す唾液の分泌量が低下する傾向にありますので、とくに就寝前の使用は避けるほうがいいでしょう。
使用後に歯磨きをする
唾液には酸性に傾いたお口のなかを中性に戻す働きがありますが、歯磨きにはそのスピードを速める効果があります。磨き残しがあると効果が期待できませんので、歯ブラシだけでなくフロスや歯間ブラシなどを使った丁寧なお手入れを心がけましょう。
まとめ
はちみつは砂糖にくらべて「カロリーが低い」「体に蓄積されにくく、すぐにエネルギーに変えられる」「甘さが強い」「菌の働きを抑える」「唾液の分泌を促す」など、全身の健康にとってのメリットが多い甘味料です。はちみつの働きを最大限生かすには「天然で非加熱のはちみつを選ぶ」のがポイントですので覚えておきましょう。
虫歯予防としてみると注意点がいくつか存在し、時間をあけずに頻繁に摂取するのは避けたほうがいいといえます。はちみつをショ糖の代用品として使用したとしても、歯の丁寧なお手入れは欠かせません。正しいお手入れ方法を身に着けることで磨き残しが減り、予防効果も高まります。お手入れに自信のない方はぜひ一度歯科医院へご相談ください。