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歯石が虫歯のきっかけに?歯石を除去しないことで起こること

ちゃんと歯を磨いているのに、いつの間にかできているのが歯石です。歯石はプラーク(歯垢)が石灰化したもので、その成分のほとんどが無機質ですが、実は多くのリスクが潜んでいる沈着物でもあります。
今回は、虫歯や歯周病を予防するためのセルフケアを行っていても、放置してしまうことでいつの間にか歯科疾患を引き起こしてしまうかもしれない、そんな歯石の危険性について解説していきたいと思います。

 

歯石がたまるのはなぜ?

●唾液の性質によるもの
虫歯になりやすい人となりにくい人がいるように、同じ環境下でも歯石がたまりやすい人とたまりにくい人がいます。
歯石は、唾液に含まれるカルシウムとプラークが結合することで形成されますが、このカルシウムの量や唾液の分泌量が多い人は、より歯石がたまりやすいとされています。下の前歯の裏側や上の奥歯の頬側に歯石がたまりやすいのは、唾液を分泌する腺が近くにあるためです。

●歯石を除去していない
歯石の元となるプラーク(歯垢)が付着しやすいのは、凹凸のあるザラザラとした表面です。歯石はまさにこのザラザラとした表面を有していて、プラークにとって非常に付着しやすい場所になります。つまり、歯石がある場所にはそこに重なるようにプラーク、歯石が形成されやすいため、塊のようにたまり続けてしまうのです。

●セルフケアが行き届いていない
歯石はプラークが原因で形成され、プラークは磨き残しが原因で発生します。
歯ブラシが細部まで当たっていなかったり、隣接面(歯と歯の間)のプラークを取り除くデンタルフロスや歯間ブラシを使用していなかったりすると、プラークがたまり歯石がたまる原因にもなってしまうのです。

 

歯石を放置するリスクとは

●歯周病・虫歯を引き起こす
放置された歯石で最も起こりやすいのは、歯の喪失にも繋がる歯周病です。歯周病は、主にプラーク内の細菌が原因で引き起こされる歯科疾患ですが、歯石はその足がかりになりやすいとされています。これは先ほどお話しした通り、粗造な歯石にプラークが付着しやすいことが原因です。
また、歯石に停滞したプラークが原因で虫歯の発症につながるケースもあることから、例え歯ぐきが健康でも歯石を放置し続けるのは危険だといえます。歯周病・虫歯はどちらも重度に進行すると歯を抜く必要性が高まるため、歯石を除去せずにずっとそのままにしている方は特に注意が必要です。

●口臭の原因になる
お口の中が原因とされる口臭の由来は、唾液の減少や舌の汚れ(舌苔)などがありますが、そこには歯石はもちろん、歯石に起因するプラークや歯周病、虫歯によるものも存在します。
つまり、歯石そのものによる口臭だけではなく、歯石に付着したプラーク、歯石が原因で起こった歯周病や虫歯などが口臭の原因にもなってしまうのです。

●見た目に悪影響を及ぼす
歯ぐきの下に形成される黒い歯石「縁下歯石」や、前歯に形成される歯石は、見た目に良くない印象を与えてしまうことも少なくありません。プラークと違い、人の目でもはっきりと認識しやすい歯石は、審美的にも大きな悪影響を及ぼしてしまいます。

 

歯科医院ではどうやって歯石を除去するの?

●スケーリング
歯ぐきから上に付着している「縁上歯石」と呼ばれる歯石を除去するのは、スケーラーと呼ばれる専用の器具です。手用のものから超音波式まで幅広いタイプがあり、歯石の状態などを見ながら適切な器具を選んで使用します。
手用のものはガリガリとした音が、超音波式のものは振動と高音が生じますが、どちらも歯を傷つけないよう、国家資格を持った歯科医師・歯科衛生士が丁寧に歯石を除去します

●SRP(ルートプレーニング)
歯ぐきの中にできた「縁下歯石」はより繊細な操作が必要になるため、スケーリングで使用した通常のスケーラーでは除去しきることができません。
そのため、歯ぐきの中の歯石とりには、歯の根っこの形にフィットするように作られたキュレットスケーラーと呼ばれる器具を使用します。このキュレットスケーラーを部位によって細かく使い分けながら、歯周ポケット内の縁下歯石を取り除くのがSRPです。
歯周病の治療にも欠かせない処置であるSRPですが、広範囲に縁下歯石が付着している場合には、保険診療のルールで数回に分けて行うことがあります。

●FOP(フラップ手術)
SRPで縁下歯石が取りきれず、歯周病の改善が見られない場合に行うのがフラップ手術と呼ばれる外科処置です。
複雑かつ感触とレントゲン写真を頼りにしていたSRPと違い、歯ぐきを一時的に切開、剥離することで、歯周ポケット内に存在する歯石などの病原物質を確実に除去できるため、歯周病の治療において度々行われています。

 

まとめ

丁寧にセルフケアを行なっていても、唾液の性質などによってどうしてもたまってしまう厄介な歯石は、歯科疾患を引き起こす前に除去することが重要です。
歯石除去を含む定期的なクリーニングは、歯の表面が滑沢になることでプラークが付着しにくくなり、歯石の形成を予防して歯周病や虫歯から歯を守ることにもつながります。
そのため、歯に問題がなくても定期的に歯科医院を受診して、なるべく歯石をためないようにしましょう。
また、自分で歯石を除去する行為はより歯石がたまりやすくなるだけでなく、歯や歯ぐきを傷つけかねませんので、絶対にやらないようにしてください。

 

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