Blog

骨がないとインプラントはできない?その理由と対処法について解説

取り外しが必要なく、見た目も綺麗でしっかりとかむことのできる魅力的なインプラント。実は重度の持病を抱えている方以外にも、顎の骨が薄く量が足りない場合にはインプラント治療を受けることができません。
なぜ骨がないとインプラント治療ができないのでしょうか?また、骨がなくてもインプラントができる治療法はあるのでしょうか?
今回はインプラントを検討中の方や、実際に骨がないと診断されて諦めている方向けに、お話ししていきたいと思います。

 

顎の骨がないとインプラントはできない?

歯科治療におけるインプラントは、歯を喪失した際に適用される治療法の一つです。人体と親和性の高いチタン性のネジ(インプラント体)を骨に直接埋め込み、そこに人工歯を取り付けて使用します。
入れ歯やブリッジのように他の歯に負担をかけず、喪失歯の治療法で唯一自立した機能をもっています。ただ骨の厚みや量が少ないとインプラントを埋め込む際に、細菌感染や炎症を起こすリスクなどが高まるため、骨が少ない場合には治療が困難になってしまいます。
骨が少なくなる理由については、
・生まれつき骨が薄く、少ない
・重度の歯周病で骨が溶けた
・合わない入れ歯を使用し続けて骨が痩せた
などが考えられ、いずれの理由にしても骨が自然に増えることはありません。
ただ、骨がないからといって、必ずしもインプラントを諦める必要はないのです。インプラント治療をする上で顎の骨が足りない場合には、「骨造成」という治療を行います。

 

骨造成ってなに?

●骨造成とは
骨造成はその名の通り骨を作り出す処置で、インプラントの手術前、またはインプラントを埋め込むと同時に行われます。
通常のインプラント手術よりも治療期間が長くなる傾向にありますが、骨が少なく難症例と診断されて断られた方でも、安全にインプラント治療を行うことができます。

○メリット
・骨が少なくてもインプラント治療が可能になる
骨造成最大のメリットは、骨が少なくてインプラントを断られた経験のある方でもインプラント治療ができる点です。
まるで自分の歯のようにかむことのできるインプラントは、見た目や機能性に優れた治療法であるため、骨が少ない場合でも選択肢の一つとして考えることができるのは、非常に大きなメリットになります。

○デメリット
・骨造成をする分費用が多くかかる
骨造成をする場合、通常のインプラント治療よりも骨造成分の費用が加算されることから、結果的に治療費が多くかかってしまいます。
骨造成は自費診療となりますので、インプラント治療のみを行う場合と比べ出費が多くなるのがデメリットです。
・治療期間が長くなる
骨造成は、治療後数か月にわたってゆっくりと骨が作られます。治療前、またはインプラント治療と同時に行われるこの骨造成ですが、前者の場合には骨ができるまで経過観察を行う必要があり、通常よりも長期の治療期間となってしまいます。
インプラント治療は本来、半年もかからずに終了しますが、骨造成を行う場合、治療終了までに1年ほどかかることも少なくありません。

 

骨造成には種類がある?

●ソケットリフト
ソケットリフトは骨造成の術式の一つであり、骨の厚みがある程度残っている方に適応される方法です。
骨が少ない方の場合、インプラントをそのまま入れてしまうと、上あごにある上顎洞と呼ばれる空洞を貫通してしまうため、ソケットリフトで上顎洞を覆っている膜を押し上げながら骨補填剤を入れてインプラントを埋入していきます。
つまり、上顎洞を押し上げて本来はないスペースを作り、その空間に骨補填材とインプラントを入れて、骨を作りながらインプラントを馴染ませるのです。

●サイナスリフト
サイナスリフトは骨の厚みが薄い5mm以下のケースや、広範囲の骨造成が必要な場合に適応されます。
ソケットリフトとは手順が異なり、切開した歯ぐきの下にある骨に穴を開け、膜を剥離して露出した上顎洞を慎重に持ち上げ、そのスペースに骨補填剤を入れて切った歯ぐきを縫合します。
元々の骨が少ないことから同時にインプラントは埋入せず、新たに骨ができる半年ほど待ってからインプラント治療に進むことがほとんどです。

●ソケットリフトとサイナスリフトの違いは?
○適応される骨の状態
ソケットリフト…5mmほどの厚みがあり、局部的に骨がない
サイナスリフト…5mm以下で非常に薄く、広範囲で骨が足りない
○術後の痛みや腫れ
ソケットリフト…多少はあるが、それほどまで大きくはない
サイナスリフト…ソケットリフトに比べて痛みや腫れが大きい
○治療期間
ソケットリフト…インプラントと骨が安定する6か月前後
サイナスリフト…骨ができる期間とインプラント治療が終わるまで1年弱
○インプラントが入るタイミング
ソケットリフト…骨造成治療と同時に行われる
サイナスリフト…骨造成治療後、骨が安定した後に埋入

 

まとめ

骨がない、薄いと診断されても、骨造成という新たに骨を作り出す治療法により、近年では本来は適応外だった方でも安心してインプラント治療ができるようになりました。
治療の選択肢が増えることで食事や会話などの楽しみが広がり、QOL(生活の質)の向上にもつながります。
インプラント治療を検討している方は、まず自分はインプラントができる状態なのか、骨造成が必要かを知るためにも、一度検査と診断を受けてみることをおすすめいたします。

 

当院のインプラント治療についてはこちら