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なぜ必要?インプラント治療で抜歯をする理由

インプラント治療は、歯を失った箇所に人工の歯根を埋め込み、その上に人工の歯冠を取り付けることで、歯の欠損を補う治療方法として広く知られています。
しかし、インプラント治療には抜歯が必要なケースがあります。一体なぜ、欠損した歯を補うための治療をするのに、抜歯が必要なのでしょうか?
今回は、インプラント治療の際に生じる抜歯の必要性や、その流れについて解説いたします。

 

インプラント治療には抜歯が必要なの?

インプラント治療において抜歯は必須ではありませんが、以下のようなケースでは抜歯が必要になることがあります。

●歯の根っこが残っている場合
歯を失った際に、歯の根っこがそのまま歯ぐきの中に残ってしまう「残根(ざんこん)」が見られるケースがあります。
この残根がある場合、インプラントを骨に埋め込む際の障壁となり、手術が困難になるため、インプラント手術の前に、残った根っこを抜く処置が必要です。

●虫歯が重度にまで進行している場合
虫歯は、進行とともに細菌感染が広がることで、歯の欠損を招いたり歯の神経を壊死させたりする歯科疾患です。
インプラントをする際、このように虫歯がひどく進み、保存的な治療法では十分な修復が難しい場合、その歯を抜歯してインプラント治療を進めていくことがあります。

●歯周病による組織の損傷が大きい場合
歯周病は、歯とその周囲の組織を破壊する炎症性疾患です。進行した歯周病により歯の保存が難しい場合、抜歯をしてインプラント治療につなげていくこともあります。
ただし、歯周病が重度にまで進行をしていた場合、まずは歯周病治療を徹底して行う必要があります。これは、口腔内を清潔かつ安全な状態にし、インプラント治療の成功率を高めるためです。
また、歯周病によって骨が減少していると、インプラント治療に必要な骨量に満たないケースもあります。この場合、骨造成と呼ばれる治療で十分な骨を確保しなければならないため、治療費や治療期間がさらにかかることになります。

抜歯はインプラント治療の一環として行われ、患者様の口腔の健康と噛む力の回復を促すために重要な処置です。しかし、必ずしも抜歯が必要なわけではなく、健康な歯を抜くことはほとんどありません。

インプラント手術には1回法と2回法がある?

インプラントを埋め込む際、抜歯の有無によって手術方法が異なることをご存知でしょうか。
具体的には、「1回法(抜歯即時埋入法)」と「2回法(抜歯待時埋入法)」の2つの方法があります。

●1回法(抜歯即時埋入法)
1回法は、その名通り1回の手術で済む方法であり、抜歯とインプラントの埋入を同時に行う手法です。ただし、この1回法は、歯周病による骨の損傷がなく、骨量が十分なケースにのみ適用されます。
1回法のメリットは、手術回数が1回であるため、治療期間が短く負担が少ないことです。一方で、歯周病や骨の問題があったり、重い全身疾患を患っていたりする場合には適用できません。また、傷口から感染するリスクが高いことや実施している歯科医院が少ないことも1回法のデメリットです。
一般的には行っていない歯科医院の方が多く、当院でもリスクの観点から、基本的には行っておりません。

●2回法(抜歯待時埋入法)
2回法は、まず抜歯を行った後、抜いた箇所の傷口が修復、安定してからインプラントを埋め込む方法です。
通常、抜歯をしてから1〜2か月後にインプラントを埋入することがほとんどですが、場合によっては3〜6か月の期間が必要になることもあります。
2回法は、傷口が一度修復された状態で手術を行うため、感染症のリスクを低下させることができます。
また、骨量が不足している場合には、抜歯した穴に骨補填剤を入れる「骨造成」を併せて行うことができ、抜歯とともに骨量を増やせることから、理想的な状態でインプラントを入れられます。
このように幅広い症例に適用することができ、安定した環境下でインプラント手術に移行できる点が、2回法の大きなメリットです。
ただ、2回法は手術が2回必要なこと、1回目の手術後に組織の修復を待つ必要があることから、治療全体の期間が長くかかり、患者様の負担が大きくなります。
また、抜歯後はインプラントを埋め込むまで一時的な仮歯を使用するため、見た目に違和感を覚えることもデメリットの1つです。

いずれの方法もメリットとデメリットがありますが、適切な選択を行えばどちらもインプラント治療において良好な治療結果を得ることが可能です。

抜歯後はインプラント以外の治療法もある?

インプラントは失った歯を補填する治療法の1つです。インプラント以外には、以下の治療法があります。どちらも素材によっては保険適用が可能であるため、インプラントと比べると経済的な治療法になります。

●ブリッジ
ブリッジは、欠損した箇所の両隣の歯に被せ物をして橋のようにつなげ、欠損部を人工歯で部分的に埋めることで審美性、機能性を回復させる歯科治療です。
比較的治療期間が短いことが大きなメリットですが、隣接する歯に被せ物を装着する際、健康な歯を削る必要があることや、支えとなっている歯の負担が増すといったデメリットがあります。
ブリッジは固定式のため、取り外すことはできません。

●入れ歯
入れ歯はご自身で取り外しが可能な装置です。部分的な歯の欠損から、全ての歯の欠損まで様々なケースに適用でき、歯の状態や顎の骨の健康状態に関係なく使用できるのが大きな特徴です。
ただ、入れ歯は固定されていないため、装着中は食事や発音の制限、違和感が生じることもあります。

まとめ

インプラント治療は、歯の欠損部分を埋めるだけでなく、噛む力や発音機能を回復させる重要な役割を果たします。
今回お話ししたように、治療に伴って抜歯が必要になることも少なくありませんが、それはよりよい治療結果を得るために必要な処置です。
自身の歯の健康を守るためにも、インプラント治療について正確な知識を持ち、適切な治療法を選択していきましょう。

 

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